HDDネットワークウォークマン
NW-HD1をさわる

 ソニーのだまし討ちというか、非常にだまされた気がしたvaio pocketを売り払って、こんなモノを購入してしまいました。いい加減iPodに乗り換えればいいのに、気合いの入ったハードウェア、事前に情報収集したうえでの操作性とレスポンスの良さ、再生時間(さすがにあのビットレートで30時間と言われても現実的ではないのですが、132くらいでも他のプレイヤーよりは十分持つと思った)を考慮して、もう一度だけ信じてみようと思って買ってしまいました。
vaio pocketの頃に変換した音楽ファイルも残っていましたしね…。
中身

 パッケージ内容は写真の通り。
布のケースがついており、ウォークマンブランドであることを感じました。
なお、マニュアルはPDF形式となっています。
本体

 本体のレビュー。

・サイズ、重量
軽い。薄い。これだけで大きな魅力です。
今まではバッグの中に入れて再生していたのですが、これを機に胸ポケットに入れて持ち運ぼうと思います。やっぱり携帯性が高いというのは重要なんだと再認識。



携帯電話「A5404S」との比較。
そういえばコレもソニー製だ…。
ケイタイよりもコンパクトというのは、結構インパクトがありますね。



薄い。
だいたい半分くらい。
質感もかなりイイです。

・液晶
カラー液晶ではないことを差し引いても、あまり見やすくはありません。
リモコンの操作性がイマイチなので、使う機会が多いので残念です。

・ボタン類
堅めでしっかりとしたクリック感。
これは好みによるでしょうが、自分にはベストマッチ。

・液晶リモコン

1行しか表示できず、この手の大容量プレイヤーにはあまり向いていないように感じます。
操作性はいたって普通(厳しく言うと中の下)ですが、フォルダジャンプ専用のボタンはかなり便利。

・レスポンス
アルバムの一覧を表示させるときや曲の移動が本当に速い。本体に格納するファイル数が多くなるとワンテンポ遅れることがありますが、自分にとっては許容範囲。

・インターフェース
直前に使っていたモノがアレだったためか、何の意識もなく使えるということがいかに素晴らしいかが身に染みてわかりました。
ただ、位置が離れているファイルに移動するにはいささか不便を感じました。
この機種にこそジョグダイヤルを採用してくれればと思うと、つくづく惜しい。

・音質
良好。何度も思うのですが、ATRAC3自体の音質ではなく、本体の実力に寄るところが大きいのではないかと。
初期設定のイコライザをかますと不安定ですが、PopsやJazzのイコライザだけでなく、ClubやArenaなどのサラウンドも選択できるうえ、自分でオリジナルにカスタマイズすることもできるので、自分好みの音にすることが出来ます。

・バッテリー
スタミナをうたうだけあってさすがの一言。

・曲間
曲間ほぼゼロ。かゆいところに手が届いています。
全曲の中からシャッフル再生中に早送りをしたときはさすがにちょっと待たされますが、これも許容範囲。
クレードル

 アクリルのおかげでツルツル。指紋が付きやすいです(笑)。
右にある「リリースボタン」を押すと、PCとの接続を解除してくれます。
使う機会は多くないでしょうが、こういったこだわりはイイですね。

 クレードルに乗っけてみました。
しっかりと収まらずにぐらついています。まさか、本体に傷が付かないための配慮だったりして…。
本体にUSBコネクタがないので、PCとの動機はクレイドルが必ず必要になります。
ハードディスクとして使用して、外出先に持っていくことを考えると不便ですね。
いろいろ
 さすがはウォークマンブランド。
すべてを当たり前のようにソツなくこなすのには好感が持てます。
使っていてストレスはないですし、むしろ気持ちいいほど。
かゆいところに手が届き、ちょっとしたことに気配りを感じました。
価格は高いですが、自分の思ったことができたこともあり、本体だけを見ると非常に満足のいく買い物だったと思います。

 ただ、PC側のアプリケーション(ソニックステージ)が足を引っ張っている感が否めません。
相変わらず重い、使いにくい、不安定のダメアプリですし、なにより直感的でない。
せめて、ソニックステージ以外のアプリケーションがあれば…。
ちなみに、ファイル一括ツールにてATRAC3HDD形式に変換したのですが、P4 2.6GHz(HT有効)で15GBの変換に約1時間かかりました。(転送は40分程度)

 勝手な希望なのですが、やっぱり現在の圧縮音楽の主流であるMP3に対応してほしかったです。
著作権保護の面を考えても、転送時にOpenMGなり別の方法で暗号化すればいいのであって、何もMP3を持っている人が再エンコしてまでATRAC3を使用させる必要はないのではないかと思ってしまいます。本体がATRAC3に最適化されている(元々ATRAC3がこうしたポータブルプレイヤーの消費電力の面で有利という話もあります)ということなのかわかりませんが、どうなのでしょうね。
期間限定のアップグレードサービスによりMP3に対応されました。詳細は下の方で。
ともあれ、一定のフォーマットで環境を構築してしまうと、それに対応したプレイヤーは非常に魅力的に映ります。逆に言うと、対応していないプレイヤーは候補から外れる可能性が高い。そういった意味でも、著作権保護を確立した業界標準フォーマットを制定して、すべてのプレイヤーで使えるような感じにしてもらえるとiPodユーザもソニーユーザも満足すると思うのですが、それは夢物語なのでしょうか…。
どちらにせよ、収録局数がどうのとか配信の音質がCDに劣るとか場外乱闘をするよりも、他のプレイヤーのいいところを見習うなどをして、製品の出来で火花を散らして切磋琢磨してほしいと思います。
Hi-MD用 3行リモコン

 別売りのHi-MD用リモコン「RM-MC40ELK」を購入しました。
もしかして…と思ったら、何の問題もなくNW-HD1でも使用できました!!

 NW-HD1にジョグダイヤルがついていたら便利だろうなぁと思っていたので、メーカー保証外ながら実現することが出来てよかったです。
 肝心の使い勝手ですが、ジョグダイヤルが小さいことと、ノーマルのリモコンについていたフォルダごとの移動がボタン一つで出来ない(本体の操作と同じように、リストに戻る必要がある)ので思ったよりも扱いにくいです。
なお、基本的な操作は以下の通り。
ジョグレバー(サイドについています)Enter:再生/一時停止/決定
ジョグレバー左:頭出し/早戻し(本体の左ボタンと同じ)
ジョグレバー右:頭出し/早送り(本体の右ボタンと同じ)
VOL +:音量を上げる
VOL −:音量を下げる
HOLD:矢印の方向にスライドさせてHOLD
DISPLAY:表示画面切り替え
P-MODE:プレイモード選択
SOUND:イコライザ、サラウンド選択
ジョグダイヤル短押し:ナビゲーションモード/Enter
ジョグダイヤル長押し:メニューモード呼び出し
ジョグダイヤル上下スライド:項目、曲選択(本体の上下ボタンと同じ)

操作性は本体とまったく同じになります。従って、フォルダの移動には上下にジョグダイヤルをスライドさせるか短く押した後、側面のレバーを左に押すことでリストを呼び出す形になります。
また、リモコンの反応がちょっと遅いのも気になりました。
リモコンとしては値段も高いですし、その分の価値はあるかと言われると微妙…。
3行表示は便利ですが(笑)。
有償アップグレード
 なんとSonyからアップグレードの告知がされました。
期間は2004年11月30日〜2005年5月31日まで受付、費用は1台2000円。
期間限定とはいえ、2000円では送料だけで消し飛んでしまうような気がします。
技術料や部品代を考えるとこの数倍はいくでしょうし、最近のSonyにしては思い切ったなと。

Sonyに電話をして、2日後には引き取り。1週間で戻ってきました。

中身。
HD1とSonicStage Ver.2.3のCD-ROM、アップグレード完了のお知らせ。
袋に入っておらず、一つずつ手渡しでした(笑)。


完了。

さて、アップグレードの内容ですが…。

1.SonicStage Ver.2.3からMP3形式のまま転送可能に。SS上からHD1のMP3再生もOK。
これは素直に嬉しいです。
出来るならはじめからやってくれというのもありますが、vaio pocketではファームの書き換えで対応していることと、HD1が引き取りでしかアップグレードできないことを考えると、MP3に対応したチップを載せていなかったのでしょう。(HD1発売までに間に合わなかったのか、HD3を作る中でHD1にも積めるように設計して、今回のような対応にしたのか)
それにしても、MP3を再生できるようになったことにより、CD→MP3→Atrac3といった無駄な圧縮をせずに済みようになり、手間や音質劣化が激減したことは大きなメリットです。当たり前のことですが、聴き比べてみると明らかに違いました。
いくらHD1が優れたハードでも、再生するソースが悪ければもったいないですしね。
ちなみに、HD1側に転送したMP3はOpenMGによって暗号化されています。
他のPCに移すことは出来ませんが、そもそもそういった機会がないので不便は感じていません。

なお、SS2.3をインストールしても従来のライブラリがそのまま引き継がれます。
この状態でHD1に転送すると、MP3から取り込んだ場合はAtrac3ではなく、MP3ファイルを転送するようになっています。(従来はAtrac3のみ対応だったので、当然Atrac3ファイルを転送していた)
従って、PC上に取り込んだMP3ファイルとエンコードしたAtrac3ファイルが2つ存在してしまうことになる。さらに追い打ちをかけるように、SSではMP3が再生される仕組みになっているので、いよいよもってAtrac3はお役ご免となる。
HD1でAtrac3を再生させたいという方は良いのですが、MP3をHD1で再生させたい方はAtrac3ファイルを消去してしまうというのも手。自分は全て消去してしまいました。


2.デジタルサウンドプリセットモードの追加
低音と高音の音質設定。
高音だけを強調したり、低音と高音を強調したりできます。
自分は両方とも2段階あげているのですが、Tranceなんかを聞くときはイイ感じです。
MP3はEQをいじっても反映されないのですが、コレがあれば十分です。

3.画面の表示変更
どこが変わったのかよくわかりませんでしたが、フォーマットが表示されたりしているようです。
MP3ファイルを再生しているときは「MP3」と表示されます。
フォントが微妙にデザインされていてニヤリ。

4.Sound EQ 設定時の音のレベル設定変更
録音レベルの高い音楽でEQを高めに設定したときに、大音量で再生したときの音質を向上したとのこと。
コレの影響かわかりませんが、大音量で再生したときに音が割れたりしていたのが治っていました。

5.シャッフル再生時の仕様変更
スリープ復帰後に再生するとシャッフルパターンが再設定されるようになりました。
たまにシャッフルを使っていたので、ちょっとだけ嬉しい。



 あまり他機種と比較するのはどうかと思いますが、HD3とHD1の比較。
質感は明らかにHD1の方が上。HD3はプラスティッキーな感じがしました。
ボタンについても多少の改善は見られたものの、第4世代のiPodに比べると劣ります。
USB変換コネクタによる充電、ファイル転送は魅力ですが、それに価値を見いだせなければHD3はオススメしにくいですね。
音質に我慢できればiPod(21世紀のウォークマンはPSPではなく、間違いなくiPodだろう)。
手間がかかってもいいなら、HD1&アップグレードがベストな選択だと思います。
中古に嫌悪感がなければ3万円台前半で購入できますしね。

 というわけで、念願のMP3対応。
音質は現存するHDDプレイヤーの中では最高レベルだと思いますし、ようやく他のプレイヤーと方を並べることが出来たといった感じでしょうか。
プレイリストやUSBコネクタ(次のモデルチェンジではコネクタ内蔵とかありそうだ)など、改善の余地は多いですが、自分のような使い方をしているユーザにとってはベストチョイスです。

余談ですがITmediaの記事。デザインは好みの問題ですが、値段はどうしようもない(笑)。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0412/08/news069.html