vaio pocketをさわる

 今まで使用していたMP3プレイヤー(NMP-412X)がいとも簡単に壊れてしまったため、新たなポータブルミュージックプレイヤーを購入することに。
 MP3ファイルの総容量を確認したところ約15GBであったため、必然的に15GB以上のHDDプレイヤーが候補に挙がった。

 まずはiPod。現在のHDDプレイヤー市場があるのはこの機種のおかげではないかと思っている。
なにかとデザイン先行で語られることが多いのだが、使い勝手はどうかと聞いてみると「iTunesとの連携が使いやすい」とか「ロスレスが気に入った」とか、肝心の本体についての評価が本体の人気に比べてあまりにも少ない。それほど意識しなくても使えると言うことなのだろうか…。
 購入に至らなかった理由として、まずはバッテリー。8時間というのは心許ない。通勤通学の行き帰りでは十分と思われるが、8時間というのはあくまで新品の値であり、自分のように毎日充電するような心配性の人間が使うと劣化して、すぐに5時間くらいしか使えなくなりそうな気がした。また、iPodの人気故にたくさんの人が持っているというのもネックになった。ドコモよりau、プレステ2よりゲームキューブを好む人間にはそれが耐えられなかった。

 第2候補として、gigabeatがあがった。11時間再生、軽量・薄型ボディといったアピールポイントもさることながら、別売りのアダプタを使用すれば無線LANで音楽が転送できるという点が非常に気に入った。
 それならば、なぜ購入に踏み切らなかったのか。
答えはリモコン。ネックストラップ型リモコンは使い勝手がよさそうだが、gigabeatをリモコン操作したいときは必ずコレをつけなければならないという拘束感が気に入らなかった。本体で操作すればよいのだが、そうするとリモコンなしとなって、足回りが非常に重い。別売りでもよかったので、液晶付きリモコンがあったら間違いなく買っていた。惜しい。

 実は最終候補だったvaio pocket。「VAIO第2章」と銘打たれ、鳴り物入りで発売されたSony初のHDDミュージックプレイヤー。20時間という長時間再生(あくまでメーカー公称。各社計測方法が異なっているため、一概に鵜呑みにはできない)、3行表示液晶リモコン、カラー液晶といった自分の中での要求事項をすべて満たしていた。amazonのギフト券2万円の期限が6月いっぱい。当製品の発売も6月だったことから、タイミングがよかったこともあってコレを購入することにした。
中身

 パッケージ内容は写真の通り。
コンセントと接続するアダプタ、USBケーブルともちょうどよい長さ。
持ち運びまで考えるとちょっと長いように感じるかも。

 CD-ROMと説明書、保証書など。
VAIO第2章のデザインになっており、ちょっとカッコイイ。
クレードルなど

 背面から。
スタンドはモロ金属なわけですが(笑)。
ただ後ろに立てただけではちゃんと固定されなかった。説明書を見ると前に押し出す必要があることがわかりにくい図で書いてあった(言い訳)。
PCとの接続はUSB2.0。クレイドルを使ってPCとの接続や充電を行う。
逆に言うとクレードルがないと何もできないので、外出先に持っていく場合はクレードルもお忘れなく。

 電源アダプタにVAIOと彫ってある。クレイドルのプリントといい、「この製品はPCではないがVAIOである」ということを必死にアピールしているようだ。
 本体を含めると、VAIOの文字だけで4つも…。
本体

 遠回りしまくったが、本体のレビューに移りたいと思う。

・液晶
キレイ。
これだけの豪華な液晶が必要だったのか疑問だが、美しいに越したことはない。
バッテリーは自信があると豪語するだけあって感動モノなのだが(後述)、さすがにG-senseで操作をしている最中は液晶がつきっぱなしなので減りは早い。

・G-sense
静電式タッチパッド。
指でスライドさせてカーソル位置を移動し、押し込むことで決定する。
多少は慣れてきたが、使いにくいものは使いにくい。
指が大きい人にとってはまったくと言っていいほど実用的ではないと思う。
ボタンの方がよかったのでは?

・液晶リモコン
こちらも残念ながらあまり使い勝手が良くない。
窪みの中にボタンがあるので、とにかくボタンが押しづらい。
どうせならジョグダイヤルを採用してほしかった…。
なお、視認性については良好。

・インターフェース
はっきりいってあまりよろしくない。
不満点は以下の通り。
(1)メニュー選択→戻る→メニューリストの一番上にカーソルが戻る
 例えば、アルバムリストの上から30番目くらいのアルバムを選択。次のアルバムを再生しようとして戻る ボタンを押すと、アルバムリストの1番目にカーソルが戻ってしまう。そのため、31番目のアルバムを聴き たいときは31番目までカーソルを移動し直さなければならない。アルバムだけでなく、すべてのメニューにおいてこの挙動を示すため、こういった仕様なのだろう。間違いなく不便。
(2)アルバム飛び再生ができない
 アルバムを最後の曲まで聴き終わると次のアルバムが再生されると思いきや、停止状態になってしまう。リピートを設定するとアルバムの最初の曲に戻るので、これも仕様と思われる。他のプレイヤーもこうなのだろうか。非常に不便。(ちなみに、付属ソフトのSonicStageは次のアルバムが再生される。)
どうせ出来ないのなら、全曲再生をアルバム順で並び替えられるようにしてほしい。
(3)タグ管理が下手
 アーティストの全曲再生というのがあるが、なぜか他のアーティストの曲まで全曲リストに入っている。
オムニバス版などにそのアーティストが含まれていると当該現象が発生するようだ。

・音質
良好。ATRAC3自体の音質ではなく、本体の実力に寄るところが大きい。
ノイズもほとんどなく、十分合格点を与えられるレベル。

・サイズ、重量
ポケットの中の入れたい人には向いていないだろうが、自分のようにバッグに入れて聴く分にはほとんど気にならない。G-Senseを使用する場合はちょうどよい大きさ。
重量は重いと言われれば重いが、自分はあまり気にならない。

・バッテリー
スタミナはかなりある。
自分の環境では21時間再生できたことを考えると、20時間再生はリップサービスではないようだ。

・曲間
次の曲を再生するまで3〜5秒程度待たされる。
ノンストップものを聴いているとツライ。
本体の動きを見る限り、次の曲の先読みはしていないようだ。
これが20時間再生の秘密?
SonicStage
 ムダに派手な音楽管理ソフト。
重い、使いにくい、ハングるといった3拍子が見事にそろっている。
世間では評価が高いiTunesもそれほど使いやすいとは思わなかったのだが、このソフトはさらに…。
また、MP3転送時にMagicGateとOpenMGという技術で暗号化をかけて、さらにATRAC3に変換しているために、時間がかかりすぎる。暗号化して転送しっぱなしというユーザには最初の手間だけでよいが、曲の出し入れをする方にとっては耐えられないかも。(ほとんどのユーザは前者に当てはまると思うので、致命的というわけではないが…。)なお、変換したファイルはローカルHDDに残るので、容量に注意。
いろいろ
 文句ばかり言ってしまったが、ほとんどがファームウェアで改善できるレベル。
残念ながら現状ではソフトウェアがハードウェアを生かし切れていない感じ。ぜひユーザの意見をブラッシュアップして、イイ製品に育てて欲しい。
 この製品は「いい音質で長時間聴きたい。そのためには多少の操作性も目をつぶる!!」という方以外は手を出すべきではないと思う。MDを使っていた方がコレを使ってみると「good bye MD(by.apple)?まだまだだね」と一蹴する姿が目に浮かぶ…。
本体