わりと長いカトリの二日

 もはや行きつけとなったえのもとサーキットでミニFの完成車を購入したカトリ。

「…今週はおとなしく過ごそう」

抑えたつもりが財布の中の札が全滅…。
圧倒的じゃないか!というセリフよりも先にため息が出る自分に自己嫌悪。


・2月13日

休日の武勇伝を思い返しながらポケットの中をまさぐる。
出てきたのはいくつかの100円玉とたくさんのアルミ硬貨たち。

「…448円。今の時代じゃコロコロコミックも買えないな」

自嘲気味に笑いながら自席につこうとしたその時、後ろの席から騒ぎ声が。
資金難の寂しさを紛らわす為に見てみる事にした。

なんだつまらん。
ブラウザを起動したら変なサイトに飛ばされるようになっただけか。
大方、ウイルスに冒されてhostsが書き換えられてしまったのだろう。
オレは解決策を探してあげるフリをして、PCに向かう。
直後、いただきストリートSPフローラ語録を見て時間が過ぎていくのをひたすら待った。


のどが乾いた。
干からびるよりはマシということで、金がないのにミネラルウォーターを買ってしまった。
1時間に一口のペースで飲めば、明日までは持ちこたえられそうだ。
ニヤニヤしながら口に含むと、先ほどのウイルス野郎が礼を言いに来た。
「探したけれど見つからなかった」と残念そうな顔をして、何とかその場をやり過ごす。
そして、居なくなったのを見計らって再びフローラ語録鑑賞の続きに取りかかった。


・2月14日

ついに所持金が8円になってしまった。
ここまで少ないともう笑うしかない。
ニヒルな笑いを浮かべていると、遠くで女子たちがオレの方を見て微笑んでいるのが見えた。
まったく困った子猫ちゃんたちだ。
何となく眉をひそめているようだが、最近目が悪くなったからそう見えるだけだろう。

待てよ。そうか、今日はバレンタインデーだったな。
けしからん。チョコレート会社の陰謀に踊らされおってからに。
オレのところに持ってきたら説教をしてやるわ。
まったく現代社会の申し子たちときたらこれだから…。

まぁ、結論から言うとそれは杞憂に終わったわけだが。


わりと長い二日が終わりを迎えようとしたその時。
甘い香りを漂わせながら昨日のウイルスマンが話しかけてきた。

「カトリさん、チョコいくつもらいました?…へぇ、それはそれは…」

同情するなら金をくれ。

(原作:2007年2月13日〜2月14日 カトリ氏のニセブログ)

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