みんなが納会で浮かれている中、オレはなけなしの金でコーヒーを飲んでいた。
カトリ30…。
ハードボイルド・カトリ…。
次々とダンディかつダーティなセカンドネームが思い浮かび、自分でも久々のヒット。
いや、ピッチャーの頭上を越える見事なプッシュバントだと自画自賛していた。
ニヒルな笑いを浮かべていると、遠くで女子たちがオレの方を見て微笑んでいるのが見えた。
おいおい、オレに触ると火傷するぜ。
何となく背中が煤けているといわんばかりの表情をしているようだが、この間、あさがやからヒジを目に入れられたからそう見えるだけだろう。
調子に乗ってコーヒーを飲み続けていたら、吐き気がしてきた。
くっ…ここは胃薬で回復を…
「なんだカトリ、飲んでないじゃないか。遠慮せず飲め!!」
なッ!?
酒じゃない、オレが飲みたいのは胃薬だッ!!
「す、すいません。吐きそうなんです…」
「なんだカトリ、オレの酒が飲めないのか!?」
ふ、ふざけるな…ッ!
胃薬は命よりも重い…!
ざわ…
ざわ…
「まぁ仕方ねぇな。ムリすんなよ」
「フヒヒ!すいません!」
た…助かった。
時計を見たら定時を大幅に過ぎていた(1分05秒)ので、ダッシュで退出。
近場のコンビニに駆け込んだ。
「○○銀行、△△信金…」
他社のATMしか取り扱っていない。
食いっぱぐれるよりはマシかと、手数料支払いという無条件降伏を受け入れた。
今回はまともに喰らったが、今後はその手は通じないぞ。
「アイルビーバック」
オレは吐き気を我慢しつつ、ターミネーターのような動きで帰路についた。
(原作:2007年12月24日〜12月27日 カトリ氏のニセブログ)