こだま346号東京行き(その1)



ドトールでカフェ・ド・ショコラを飲み、ツナチェダーチーズを食べる。
冬の寒空を見ながら、暖かい店内でささやかな平和を楽しむ。

木々もだいぶ葉が落ちてきたなと窓の外に目をやると、
邪悪の化身が負のオーラを纏いつつ、ぬくもり空間という結界をぶち破って侵入してきた。
「引っ越し対決以来だな」
「何が対決だ。結局あの後、かっぱ寿司で全額払わされたじゃないか」
Wii買ったんだって?」
「ゼルダがなかなか難しくてさぁ、最初のダンジョンで…」
Green Shirtは元気?」
「あぁ、元気だよ…って、あれ?Wiiの話はどこへ?」

めまぐるしく変わる会話の内容に必死でついていく。
引っ越しから始まり、最終的には宇宙の創生期まで話が及んだ。
そんなこんなで会話が一段落したとき、ヤツの口から驚くべき言葉が発せられた。

楽しい新幹線シリーズだっけ、アレ」

楽しいトレインシリーズだろう…」
「あぁ、それそれ♪」
「なぜに新幹線限定…。しかし346のくせに良く知っていたな」
「オレだってダンガンレーサーの端くれ。それくらいの情報収集はやっているぜ」
「いや、それ、ダンガンじゃないんですケド…」

初出:2006年12月7日 峠の茶屋「こだま346号東京行き」