ドトールで読書にふけりながらコーヒーをすする。
Sサイズを頼もうと思っていたが、間違えてMサイズと言ってしまったため、なかなか量が減らない。
その梅雨が過ぎた直後のダムもどきと格闘していると、
誰が見ても一目でやばいヤツだとわかる人物が、がに股で近づいてきた後、対面に鎮座した。
「いやぁ、この間は楽勝だったぜ」
「346にしては、な」
「本気出したからな!あさがや如きに負けるわけねぇだろう」
「まぁ…その前はケチョンケチョンにやられていたが」
「そのときに受けた精神的苦痛は、この際だから忘れてもいい。いや、忘れたい。お互い忘れよう」
比喩的に遠目になっている346と対照的に、自分は現実的に遠くに目を向ける。
すると、遠方に座っていた男女が、なぜかコンピュータらしきものの基盤を組み立てているのが見えた。
大学の研究課題だろうか。
コーヒーショップにはとてもマッチしない光景である。
あまりジロジロ見ると怪しまれるので、視線をテーブルに戻すと、こちらも妙な光景が目に飛び込んできた。
「なぁ、346」
「なんだよ」
「なんでケーキだけしか持っていないの?」
「あぁ、ドトールは水がサービスだからな。水とケーキ、これ最強」
「(わざわざコーヒーショップで水とケーキ?ここにも似つかわしくない人が…)」
「あ、水いるか?水はタダで飲み放題っ!」
「ありがとうございます。346さんの御手で差し出されたものものなら、たとえエビアン以上の品質でも水道水以下です」
「あァ?」
さて、そんなこんなで本シリーズもようやく終わりを迎えるわけだが、カトリ氏のニセブログに不吉な文面が書き込まれていた。
346よ、不本意ながら最重量マシンの称号を譲ったが、近々返してもらう。 首でも洗って待っているが良い。 (原文のまま引用) |
なんだコレは。犯行予告か。
それを知った346は「即、乱闘だ!乱闘パーティだ!!」と、遠くから聞こえるチープでシュールなビープ音をBGMに、次なる戦いを予感させる頼もしいセリフを言い放ったのだった。
やれやれ。
初出:2008年2月24日 峠の茶屋「姿346その6」