激闘記録 第八章第5話「ハードボイルド」

あさがやち、違うんだ!信じてくれ!!
カトリ「言い逃れはできんぞ。実行できる人間はキサマしかいないんだからな」
あさがや「オレはやっていないッ!!」
P-M「騒がしいな。一体どうしたんだ?」
カトリ「よう。実はあさがやのヤツがおかしな事を言いだしてな」
P-M「おかしな事…?」
あさがや「あ…ありのまま、この間起こった事を話すぜ!
越前を机の上に置いて出かけたと思ったら、帰ってきたらハードスリックタイヤが割れていた。
な…何を言ってるのかわからねーと思うが、オレも何が起きたのかわからなかった。
超常現象だとか催眠術とかそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」
P-M「何が何だかまったくわからん。要するに何もしていないのにタイヤが割れたということだな」
あさがや「そういうことになるかもしれない今日この頃だ」
カトリ「で、ガイシャの写真だ」


画像提供:あさがや氏

あさがや「ガイシャって言うな!」
P-Mホトケ様、真っ二つに逝ってるな」
カトリ生前は痛車として活躍していたそうだ。色々な意味で痛かっただろう」
あさがや「オマエら次々と縁起でもないことを。タイヤが割れただけで、まだ越前は生きているぞ!」
カトリ「姿、形は関係ねぇ。問題なのは魂さ」
あさがや「関係あるよ!」

カトリ「だいたいな。タイヤが勝手に割れるどころか、1周や2周コースを走ったくらいで割れるなんてあり得ないだろう」
あさがや「いや、しかし…」
カトリ「それに、タイヤを調べたところ、あさがやの指紋しか残っていなかった。つまり…犯人はキサマ以外考えられん」
P-M「あさがやのマシンなんだから、あさがやの指紋しかついていないでしょう」
あさがや「そ、そうだ!そもそも、越前がこわれて何の得がある!」
カトリ「得…?ククク。この名探偵カトリ様の目はごまかせないぞ」
P-M「久しぶりに出るぞ。名推理が…って、カトリさん、目、怖っ!」
カトリ「あさがやのたくらみは次のレースで負けたときの言い訳に使うためだ。"直前でタイヤが壊れたせいでセッティングが固まらなかったから負けた"とかいって」
P-M「それはありがちだが…。あさがやは負けてもキャラ的に痛くないだろう」
あさがや「そうだそうだ!負けてもまったく失う物なんてない…って、失敬な!訴えてやる!!」
カトリ「あとはそうだな。ハードスリックタイヤが壊れた→壊れたんじゃあ仕方ない。もう一つ 買おう→いや、また壊れたらどうする。あと10個くらいストックのために買っておこう→他のパーツも大量に買い込んでおこう→日本中からパーツが枯渇→ パーツ価格大暴騰→ミニ四駆界の征服」
P-M「なんて誇大妄想な…。そんなことを考えるのはカトリだけだと思うが…」
あさがや「チッ…バレたか」
P-Mマジだったの!?



●戸有模型店

あさがや「よ〜しパパ次のイベントに備えて、越前のセッティングはじめちゃうぞー」
カトリ「やめとけ。どうせまた爆死だろう」
P-M「セッティングの時点で!?」
カトリ「まぁどうせ、このマシンを見たら戦意を失って夜も眠れず昼寝するだろうし」
P-M「ちゃんと睡眠はとるのか」
あさがや「ごちゃごちゃ言ってないで、そのマシンとやらを見せるアル」
カトリ「ほらよ」




あさがやまさかの二回連続!!
P-M「しかもダンガンじゃないか!」
カトリ「どうしても見て欲しくてな。ほれ、前回よりも重量が増えているぞ」

びふぉあー あふたー

あさがや「見たところ何ら変わっていないようだが…」
P-M「いや、よく見るとボディの後部にウェイトが増設されている!ボディ表面にはレンチを切ったものも」
カトリ「それだけではない。持ってみろ」
P-M「どれどれ…ッ!重ッ!!
あさがや「重力を自在に操れるほど高貴になったのか?」
カトリ「そんなことあるか。ほれ、裏面を見ろ」



P-Mセッティングウェイトがびっしり!!
カトリ「裏面に8g×4が3段!そして取り付けられるところに2gのウェイトをくわえて、前回よりも30gアップ!これで346!お前を上回る310gだー!!!
あさがや「うむぅ…。とある行商人は羊の中に金を隠して密輸をしたというが、それと同じか」
カトリ「わっちのマシンはそんな器用なことできんせん」

カトリ「さぁ、越前!勝負しろ!!」
あさがや「無茶を言うな。越前はミニ四駆だ。他をあたってくれ」
P-Mコイツでよければ練習の相手をしてやるぞ」
カトリ「超ドノーマルじゃん」
P-M「超ドノーマルだもん」
カトリ「ソイツで我慢しよう。じゃあさっさと走らせろよ」
P-M「フッ。怪我をしても知らないぞ」

レディ…ゴー!!

あさがや「遅い…。マシンが余裕で目で追えるな」
カトリ「す、すごい!これは接戦だ!両者一歩も譲らない!!」
P-M「練習走行だからムリして盛り上げなくてもいいよ」
カトリ「うるさい!ゆるさん!ゆるさんぞカカロット!!」
P-M「誰だよカカロットって…」
カトリhageろ!!アリアドネの糸タックル




ベキベキッ!

あさがや「何て事だ!吹っ飛ばされた衝撃で樹が粉々に
カトリ「迷宮で鍛えた奥義、思い知ったか」
P-M「いやいや、いくらなんでもこれはない!ありえないだろう!!」



カトリ「さぁて、ダンガンも調子よく終わったし、次はミニ四駆を走らせるか」
あさがや「勝負するか?」
カトリ「はぁ?誰が越前なんかと勝負するかよ。うぬぼれるな。他をあたれ」
あさがや「…ダンガンのときのフリはなんだったのか」

P-M「お、カトリもハードスリックタイヤを履いているのか」
カトリ「まぁ、戯れにな。誰かさんみたいに壊れていないが」
あさがや「うるさいな。早く走らせろよ」
カトリ「ハイハイ。しっかりビデオにとってHD-DVDでダビングしておけよ」
あさがや「後がつかえているから、さっさと黙って走らせろよ」
カトリ「オーケー。ゴー!バックブレーダー!!
P-M「あれバイソンマグナムだろう?バックブレーダーじゃない!!」

あさがや「でも、偉そうにするだけあって速いな」
P-M「ビデオに撮っておけばよかったか。ベータマックスで」
カトリ「ハハハ!オレ様は1周すれば十分だぜ!(2周目のレーンチェンジャーで吹っ飛ぶから)」
P-M「さすがに余裕だな」

ぽろっ

あさがや「あれ?タイヤが外れたぞ」
カトリ「おっと、ホイールと固定していなかったからな…うおっ!」
P-M「どうした!?」




カトリ「わ、割れている…
P-M「1周走っただけなのに…」