冬にしては気温が高い12月21日。
今日は浅草ROXで今年最後のビッグレース「ミニ四駆GP2008・年間チャンピオン戦」が開催される。
本章第1話で優勝宣言をしたあさがやの付き添いという名目で、毎回イベントに顔を出している私ことP-Mですが、集合時間2分前にようやく駅に到着するという未曾有の危機にさらされています。
このままでは早めに現地入りして練習したいと希望していたあさがやに迷惑がかかってしまう。
間に合うか…!?
●集合場所
P-M「集合時間ギリギリ…到着」
カトリ「息を切らしての登場お疲れさん」
P-M「いや…はぁ…あさが…やに、迷惑を…かけるわけには…いかないからな」
カトリ「そうかそうか。だが、肝心のあさがやはまだ来ていないぞ」
P-M「え”!?」
10分後
あさがや「やぁ、さわやかな朝だね♪今日もがんばろう」
カトリ「キミの称号は遅刻オブジイヤーね」
P-M「アサロット、お前がナンバーワンだ!」
あさがや「やった!嬉しいな。これからも積極的に遅刻を狙っていきたい」
P-M「オラおめえだけはぜってぇ許さねぇ!!」
あさがや「な、なんだよもー」
カトリ「三回連続で遅刻しやがって!!いい加減反省の色を見せろ」
あさがや「こんな色でよろしければ」
カトリ「何塗ってんだと思った」
あさがや「まぁ、そうカッカしないで。コーヒーでも飲んで落ち着こう」
P-M「遅刻の詫びか。ありがたくもらっておく」
カトリ「あさがやにしては気が利くな」
あさがや「は?これは電車に乗るよりも優先して買った大事なコーヒーだからね。オマエらの分なんてないよ。他人のモノを奪おうなんて、図々しいにも程がある」
P-M&カトリ「図々しいのはどっちだ!!」
●浅草ROX
あさがや「…」
P-M「おい、あさがや」
あさがや「……」
P-M「ダメだ、返事がない。そんなのは放っておいて、さっさとエントリーシートを入手して販売コーナーに向かうわ」
カトリ「あ!…先を越されたか。まぁいい。こちらは残り物には福がある作戦を発動しよう」
あさがや「………」
カトリ「おい、フナムシ」
あさがや「何だよアブラムシ」
カトリ「チッ。聞こえていたか。我々はコースで練習走行に行くぞ」
●練習走行
カトリ「今日のコースは連続ヘアピンに中型バンク、テーブルトップ。レーンチェンジャーはノーマルタイプか。手強いな。テーブルトップもいつもより高くなっているのがいやらしい。越前終わったな」
あさがや「じゃあちょっくら並んでくるから、そこらへんで応援してろ」
カトリ「昔のレースイベントでは並ぶ必要がなく、適当に走らせることができたが、最近は練習走行でも並ばないといけないのか。参加者が多いから仕方ないだろう。1回しか走らせられないとなると、越前は本格的に終わったな」
・
・
あさがや「何が"越前終わったな"だ。今日は秘策を講じたから、コースアウトだけは確実にない!」
P-M「今日はあまり貴重なモノはなかった」
カトリ「おぉ。帰ってきたか」
P-M「あさがやはもう列に並んでいるのか。どこらへんにいるのかな…あ!」
あさがや「(ニヤニヤ)」
P-M「何でバンクを見つめながらニヤニヤしているのだろう…」
あさがや「(ちらっ)」
P-M「キモッ」
カトリ「どうした?」
P-M「いや、あさがやが…」
あさがや「(ニヤリ)」
カトリ「キモッ」
あさがや「今日も3コースだ。連中がいつもアホと言ってくるから、たまには乗ってやるか」
P-M「お、もうすぐあさがやの出番だ」
カトリ「そんなことよりあのマシン見てくれよ。スピードと安定性のバランスが絶妙だ」
あさがや「今だ!いち…にぃ…さぁーん…って、あれ?」
P-M「ははは。越前はスピードだけで今日も爆死だろうな」
カトリ「まったくだ。あ、あさがやのヒートがやってきたな」
P-M「お、あさがやはまた3コースかよ。でも何で顔が赤いんだ?」
スタッフ「はい、じゃあ準備OKですね。シグナルが青になったらスタート!それでは…」
レディ…ゴー!!
写真はイメージです。
あさがや「絶妙なスタート!」
P-M「各車一斉にスタート後のヘアピンをぬけ…あれ?越前がいない」
カトリ「まさかコースアウト…?」
のろのろ…
P-M「いた!越前遅い!!」
カトリ「何このスピード?蚊が止まりそうだ」
あさがや「テーブルトップも超安定!これぞ越前の真骨頂!!」
P-M「既に半周差がついているぞ」
カトリ「まさか周回遅れになったりして。それはそれでオイシイが」
●レース前
P-M「ゆっくりしていったね」
カトリ「またマシントラブルか」
あさがや「違う。越前スロースピードが見事炸裂したのだ」
カトリ「それもしかして必殺技みたいなやつなの?もう少しネーミングひねろうよ」
P-M「『越前のスピードがこんなに遅いわけがない(著:346 イラスト:後輩)』。ネタにしたい…いや、反面教師、あ、違う。セッティングの参考にしたいから教えて欲しい」
あさがや「ノーマルモーターを使っただけだ。完走を目指すのを優先とする安全重視の作戦だ」
P-M「へぇ…そ、そうなんだ」
あさがや「おうよ!」
P-M「…」
あさがや「…」
P-M「あ、あのー」
あさがや「いやぁ、そうだ。僕ちん、スピードチェッカーでスピードを計測しようと思っていたんだ!ちょっと行ってくるからかわりに荷物を見ていてくれよなフロムニューヨークシティ。アディオスアミーゴ」
P-M「おーい、マシンを忘れているぞー」
カトリ「あの方向は販売コーナーだな」
P-M「あさがやが出かけている間にマシンでも見せてもらうか」
越前(CGムービーエディション)
第四形態との差分はマスダンパーとセッティングウェイトの増設。
あとはフロントホイールを大径ウェンウェイホイールWT、リヤを太い方に変更。
ついでにモーターもハイパーダッシュからノーマルモーターへ。
P-M「スライムとスライムベスくらいの違いだな」
カトリ「モーターと名前が残念なことになっている。今ならオレの小径マシンでもスピードで勝てる」
P-M「前回から大きく変わったな」
カトリ「テーブルトップやレーンチェンジャーがなければ越前など蹴散らせるぞ」
あさがや「偉そうに。ボディなんて全然変わっていないじゃないか」
カトリ「ボディは変えようがないだろう!」
あさがや「オマエらと一緒にいられるか!オレは別の場所でモーター交換…じゃなかった。オープンコースで走らせてくるからな!!」
P-M「またまたまた変なフラグを立てたぞ」
カトリ「しかも思いっきり見える位置でブレークインしてますやん」
●レース
グリーンのエントリーカードをお持ちの方は、車検の受付を開始しますので列に並んでください。
あさがや「じゃあ逝ってくる」
P-M「字が終わっている方になっているぞ」
カトリ「どうせまたコースアウトして爆死だろう。期待しないで待っているぞ」
あさがや「大丈夫。コースアウトなんて絶対にしないから(キラッ☆)」
カトリ「キモッ★。まぁ、いいや。そこらへんで見ておくか」
P-M「ま…て。足が…痺れた」
カトリ「あっそ」
P-M「痺れる反応だなー」
・
・
・
あさがや「車検通過。今回は2コースだ!連中に合図しておこう(シャキーン♪)」
P-M「何だよあれ」
カトリ「ピースサインなんかして、走る前から勝利宣言か。おこがましい」
あさがや「あ…あれ?何か遠くでイヤな顔されている!?」
スタッフ「シグナルが青になったらスタートですよ。それでは…」
レディ…ゴー!!
写真はイメージです。
P-M「1コースのマシン速い!」
カトリ「その他は越前含め団子状態でコーナーを抜けた」
P-M「あ、独走だった1コースのマシンはテーブルトップでコースアウトした」
カトリ「一方、越前はテーブルトップも安定して走破!トルクチューンへの変更は当たりだったか!?」
P-M「今度は越前が独走状態に入った」
カトリ「2周目のテーブルトップもクリア。らしくないレース展開だ」
P-M「まさかこのまま行ってしまうのか!?」
カトリ「おや?あさがやの様子が…」
あさがや「…」
P-M「アレは…荒ぶる鷹のポーズ!?」
カトリ「3周目のテーブルトップに突入したーッ!」
P-M「アイツまた余計なことを!やめろ!やめるんだ!!」
あさがや「はぁぁぁ…
日本のハンバーガーよ、もう遊びは終わりだ!!」
あさがや、3周目でコースアウト!!
P-M&カトリ「逝ったー!!」
カトリ「なんて愚かなのだ!自分の命を自分で絶ってしまうとは!!」
あさがや「…」
P-M「残念だったな」
あさがや「お前のせいだー!!」
P-M「なぜ!?」
カトリ「こうなったらあさがやのカタキをとってくれ」
P-M「え?いきなりそんなことを言われても…」
カトリ「今年最後のレースだぞ。後悔してもいいのか!?」
P-M「後悔も何も、今日は出ない予定だったのだが」
あさがや「コースアウトするのが怖いのか?」
P-M「あなたとは違うんです」
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・
P-M「はぁ…並んじゃったよ。もうどうにでもなれだ」
P-M、4周目でコースアウト!!
P-M「ごらんの有様だよ!!」
あさがや「展開早ッ!」
カトリ「結局、最終話も爆死だったな」
P-M「コースアウトしたのがあさがやより1周遅かった。あさがやには実質勝利!」
あさがや「コースアウトじゃ同じだろ!」
P-M「こうなったら…」
あさがや「勝負は来年に持ち越しだな!」
カトリ「ということは、来年も新章で…
続く…のか?