激闘記録 第十章第5話「ディスコネクト」

「品川シーサイド〜、品川シーサイド〜」

大井町駅からりんかい線に乗り換え、5分程で目的地に到着した。
この出だしから想像が付いている方も多いと思うが、カトリとあさがやは欠席。
誰も興味がないと思うが、カトリはラブプラス現象に影響されて熱海へ、あさがやはオタ芸の修行でどこかに行っているそうだ。

さて、話は戻ってワタクシことP-Mは、ミニ四駆GP2011関東大会にやってきた。
先月のニューイヤーGPをスキップしたので、約2ヶ月ぶりの公式大会ということになる。
今回はシャーシ限定クラスでスーパーX/XXシャーシが行われる。
ちょうど試作機を実戦投入しようと目論んでいたので、練習走行で調子がよければそのまま突撃してやる。

エントリーシールをゲットして、練習走行の準備をしていた矢先。

「今日は練習走行はありません」

ぐはっ(吐血)

何年前のリアクションだよと思いつつ、目の前が真っ暗なり、足がガクガク震え、汗がダラダラ出てきた…ということはなく、冷静にマシンを取り出しかけた手を止めた。
足が震えたのは本当か。寒さで。

まだまだ出番がやって来ないので、販売コーナーへ。
限定販売もキーンホークJr.レッドメタリック仕様くらいなので、正直なところ、ほとんど期待していなかった。



うおーい!!!

サンダーショットMk.IIクリヤーボディにピニオンプーラー、トライダガーXプレミアムまで!
あ、モーターケースはいいや。
告知してよ。いや、こういうサプライズは会場に来る楽しみの一つだから告知しないでよ。

何を買おうかなぁ。
悩んでいる時間も楽しいし、寒さも感じない。
それはとっても嬉しいなって。

20分後。

寒いよ。
列が半分しか進んでいないよ。
レジが1台しかないから全然捌けないよ。
こんなの絶対おかしいよ。

商品が手に取れる場所まで来たのは、その15分後だった。
さて、何を買おうかな。


この箱を見るとどうしても笑ってしまう。



「こちらはメッキ仕様です」

そうだね。

「アズールとエンペラーはお一人様どちらか1台までとなっております」

へぇ。どちらも買わないからいいや。

「今、こちらに並んでいるのが最後です」


え!?

な〜んてブレるわけにはいかん。
ちゃんと使うものだけを吟味して買うようにしなきゃと自分に戒めていたら、周りがにわかにざわつき始めた。

「オレの順番まで残っているかな」
「ちょっとムリすれば買えそう。ブルーメッキだもんな」

強迫観念にとらわれるが如く、買い物カゴにIN。
「手に取ったのが最後の1個でした♪」という満面スマイルに、なぜか「ありがとうございます」と感謝していた。わけがわからないよ。
あぁそうか。奇跡も、魔法も、あるんだね。

あとはピニオンプーラーをゲット。
バッテリーケース?華麗にスルーですよ。
100円均一で売っていそうだし、タミヤロゴが入っただけで…ねぇ。
会計待ちの間、急に脳から電撃が。

「バッテリーを乱暴に放りこんじゃうP-Mさん」
「この気温じゃバッテリーたちも寒がっているだろうな」


後悔なんて、あるわけない。

このパターン、過去の話であった、ような…。


販売コーナーから離脱すると、ようやく出番がやってきた。


このコースなら行ける!

ハイパーダッシュモーターPROをセット。ネオチャンプ装填。
マシンが軽い。
こんな幸せな気持ちで走らせるなんて初めて。
もう何も恐くない。

シグナルを見据え、じっくりとマシンをコースに寄せる。
5台が一斉にスタート。
いや、スタートしたのは4台。
1台は完全に出遅れていた。誰のマシンかは明言しないが。

じっくりしすぎたのが響き、誰かさんは差を詰められないまま3位でフィニッシュ。
スピード負け、いや、スタート負けで2011年最初の公式レースは散ったのであった。