「よし、ここはいったん身を退いてだな…」
「この荷物はどーすんですかっ!」
「だよなぁ…ハハハ」
346のヤツ、圧倒的に押されている。面白いなぁ。
え、私?私はもう観念していますので。
こうなったら抵抗するだけムダってヤツですわ。
346必死の抵抗もむなしく、後輩のマンションに到着。
いきなり青ざめるP-Mと346。
「1、2、3、4…」
「16階建てですよ。そこに書いてあるじゃないですか」
「そ、そうだよね…」
「(346の肩を叩きながら)まさか16階まで運ぶんじゃないだろうな」
「まさか!」
「だよね〜」
「よかった。本当によかった」
「ほら、あそこです。1の字が見えますか?」
「1階か。楽勝だな」
「その斜め上です♪」
「…。まぁ、エレベータで運べば…」
「エレベータは点検中らしいですよ」
「…」
仕方なく階段で荷物を運ぶ一行。
なぜかいきなり346のテンションが上がっていた。
「アバカム!」
カギがかかっていないだけだ。
「バイキルト!荷物も片手で楽勝だぜー」
その中に入っているのは調味料だけだから。
「ピオリム!足が軽くなってきたぜー」
ニフラム!ニフラム!!
10分後。
「燃え尽きたぜ…」
「早ッ!!」
と、史上類を見ないチームワークで全作業を終えた。
開始時刻:9時30分
終了時刻:17時15分
「お二人ともありがとうございました」
「いいってことよ」
「腹減った。これからかっぱ寿司でも行こうか」
「賛成!」
なぜかP-Mがおごるはめになったのは言うまでもない…。
初出:2006年11月12日 峠の茶屋「今度は引っ越し対決?(その6)」