激闘記録 第九章第1話「満を持して」

2008年。
ミニ四駆の公式レースに戻ってきたあさがやは、予選を通過することなく一年を終えた。
目標未達という屈辱で失意のどん底に突き落とされたあさがや。
大きな壁に遮られた彼に変わり、一人の戦士が立ち上がる。
その者の名は−。

時は2009年1月11日。
寒さが本格化した冬空の下のことであった。

●集合場所

P-M「寒い。寒すぎる。十万石饅頭」
カトリ「登場早々、局地的にしか通じないような寒い挨拶だな」
P-M「ほっとけ。ところで、あさがやはまた遅刻?」
あさがや「ここにいるよ feat.あさがや」
P-M「ふ〜ん…」
カトリ「はぁ〜…」
あさがや「え?なになに?この空気」
P-M「あさがやクン、わかっているよね。今回は新年一発目、しかも新章なんだから」
カトリ「我々は『初っ端から遅刻かよ!』ってツッコミをする展開を期待しているの。わかる?」
あさがや「何だよそれ。完全なヤラセじゃないか!絶対にやらないよ!!」
P-M今年は346の出番が増えそうだなぁ(ぼそ)
カトリお代官様。他にも活きがいいの、一人知ってまっせ(ぼそぼそ)
あさがやぜひやらせていただきます!では、5分後にあの柱の裏から登場しますね♪」

5分後

あさがや「いやぁ、ごめんごめん。録画したとらドラ!が消えていたショックで遅れちゃって〜…って、いないし!!




●浅草ROX



あさがや「途中まで本気で置いて行かれたかと思った」
カトリ「そんなことはどうでもいいが、すごいたくさんの人が並んでいるな」
あさがや「そんなこと!?」
P-M「2009年最初のビッグレースだからかな。あるいはコレ目当てだったりして」



あさがや「コレの為に皆、販売コーナーに向かって押さない駆けない喋らないを遵守しつつ、はやる気持ちを抑えながらドキドキワクワクしているわけか。血湧き肉躍るぜ」
P-M「合っているような合っていないようなよくわからんが、スタッフの方の話では抽選販売らしい。だが、数は限りがあるそうだからまずは販売コーナーに並ぶとするか」
カトリ「ウルズ2、了解」
あさがや「ウルズ6、了解」
P-M「あ、あぁそうか。了解か。(ウルズって何?)」



●販売コーナー

P-M「先行販売は事前の告知どおり、トライダガーXXバンパーレスユニットLED(赤)強化VSシャーシ(レッド)の3つか。バーニング・サンのメタリック仕様、限定福袋もまだあるようだ」
あさがや「どうせカトリは『はぅ〜、お持ち帰りぃ〜』とか言って全部買うんだろう?」
カトリ「な、な、何を言っているのかね。き、今日は、強化VSだけだぞ」
あさがや「嘘だッ!!」
P-M「はっはっは。ねぇよ」
カトリ「今日は買わない。トライダガーXXのパッケージイラストを見るとついつい手が出てしまう…いやいや、ダメ。絶対」
あさがや「珍しい。まぁ、節約するのなら別に止めないけど」



P-M「よし。福袋はまだ残っているな。購入希望者はこの箱からクジを引けば良いのね」


カトリ「どうだった?」
P-M「風が身に染みるな。さっさと今日のコースを見に行こう」
カトリ「(ハズレだったな)」




●レース前



P-M「今日のコースは起伏が激しいな」
カトリレーンチェンジがバーニングブリッジタイプか。よかったな」
P-M「ホントに助かるわ。さっそく最終セッティングをしよう」

あさがや「お〜い、こんなところにいたのか」
P-M「!? そ、その袋…」
あさがや「あぁ、コレ?いやぁ、偶然やってみたら当たっちゃってねぇ」
P-M「そ、そうなんだ。な、中身は見たの?」
あさがや「まだだよ。今から越前のセッティングをしなきゃいけないしなぁ。まぁ、気になるなら開けてもいいけど」
P-M「ぐぬぬ…」←結局誘惑に負けて開けた




●レース

グリーンのエントリーカードをお持ちの方は、車検の受付を開始しますので列に並んでください。

あさがや「よ〜し、パパ。車検を受けちゃうぞー」
P-M「待て。今日は自分が先に行く」
カトリ「どういう風の吹き回しだ?」
P-M「こちらは小径タイヤ部門だが、自分の走りがあさがやに参考になるだろうと思ってね」
カトリ「か、格好いい…」
あさがや「P-M、一発かましたれ♪」



P-M「よい子のみんな、参考になったかな」
あさがや「爆死ならぬ即死か。一周持たずにコースアウトされちゃ何の参考にもならんぜよ」
カトリ「か、格好悪い…。あと、相変わらず展開早いな」


あさがや「よ〜し、パパ。今度こそ車検を受けちゃうぞー」
P-M「あさがや、ねはんで待つ」
あさがや「こっちまで呪われそうだから黙って見ていてくれ」
カトリ「…」


あさがや「車検クリア。いよいよレースだ」
スタッフ「シグナルが青になったらスタートですよ。それでは…」

レディ…ゴー!!


写真はイメージです。

あさがや「絶妙なスタート!」
P-M「越前は4位くらいか。バンクをクリアして、早くも追う形の苦しいレース展開だな」
カトリ「…」



P-M「一周目のテーブルトップをクリア。我慢の走りが続く!」
カトリ「…」
あさがや「これはヤバイな。気を送って活性化させるしかない」
P-M「あぁ、また余計なことを始めようとしている!まだ懲りていないのか!?」
あさがや「いつも心はピンク色 喰らえ…ってアレ!?」



あさがや、2周目でコースアウト!!

あさがや「あちゃー。またテーブルトップで飛んだか」
P-Mスピードに乗ってテーブルトップに突入し、マシンが浮いた際にバランスを崩したのがダメだった。安定性の向上は急務であり、空中でも姿勢を崩さないようなセッティングが求められます」
あさがや「いつもその役をやっている輩はどうした」
P-M「ほれ、あそこ」
あさがや「げ!?スタート位置にいるじゃん!!」



P-Mこの間のマシンを改良して、小径タイヤ部門に出るらしいな」
あさがや「そうなのか。ついにカトリも参戦とは。まぁ、カトリは実績があるからいい走りするかも」
P-M「データが集まったとか言っていたし、満を持してのご登場と言うわけだ」


カトリ「…」
スタッフ「シグナルが青になったらスタートですよ。それでは…」

レディ…ゴー!!



あさがや「各車一斉にスタート!!」
P-M「カトリもちょっと出遅れたが、他のマシンに必至に食らいついて…いない!!
あさがや「あれ? マシンが 遅れて くるよ」
P-M「あ、今頃バンクを登っていく。坂を登るのもいっぱいいっぱいだな…」
あさがや「テーブルトップもクリア。あれだけ遅ければコースアウトしないだろう」
P-M「初期のあさがやと同じ、相手のマシンがコースアウトするのを待つ戦略か」
あさがや「あ、スタッフの人がカトリのマシンを掴んだ!」
P-M「再レース?」
あさがや「あ、カトリが走っていたレーン、マシンが通り過ぎていくぞ」
P-M「もしかして…周回遅れ?」


カトリ「やぁ、残念だったよ。他のマシンに追いつかれそうだから取ったんだとさ」
P-M「二周目で周回遅れって、そうそう見られるものじゃないぞ…」
カトリ「直前でアトミックチューンに変えたのがまずかったようだね」
あさがや「あまりショックを受けていないようだ」
カトリ「ははっ。この僕が一回負けタくライでショックを受ケルト思うカイ?」
あさがや「何かしゃべり方が…」
カトリ「キョウハイイデータガトレたヨ。ジカイハモッとイイケッかがダセルハズ」
P-M「落ち着けハマーD!まだ三途の川を渡るんじゃない!!」