激闘記録 第九章第13話「月の見える丘に」

天気予報は雨。
空は晴天。
6月という梅雨の時期もあって不安定な空模様だろうが、駅に向かうその足取りは軽やかであった。
 
今日は浅草ROXでミニ四駆GP2010が開催される。
マシンのセッティングもしっかりと済ませてきたし、それなりに自信はあった。
ちなみに、いつも通りカトリとあさがやは欠席。
せいぜい我が勇姿をその目に焼き付けられない悔しさでのた打ち回るがよい。
●地元駅

電車が到着し、乗ろうと思ったその時、何者かが後を追うように張り付いてきた。
浅はかなり。気づいていないとでも思ったか。

P-M「何者だ!?」
カトリ「オレだよ!カトリだよ!!」
あさがや「オレオレ、オレだよ」
P-M「オカルト研究会のお二人か。もうミニ四駆のレースイベントには来ないと思ったよ」
カトリ「来るよ!ここのところ予定があわなかっただけだよ!!」
あさがや「そうだよ。カトリがオカルト好きだっていいじゃないか」
カトリ「無関係の振りしているようだけど、二人セットで所属しているような言い方されているんだよ…」
あさがや「それは置いておいて、一人でレースに行ったら寂しくて泣くでしょ?
もう仕方ないな〜。一緒についていってあげるから」
P-M「一人で行くから別について来なくていいよ」
カトリ「そうだよね。やっぱり我々がついていかなくちゃ何にもできないんだから。
ほら、もうすぐ浅草に到着するから、早く支度しなさい」
P-M「あのさぁ…一つ聞いていいかな」
あさがや「Yes I Don't」
カトリ「いいぜ、聞いてやるよ。話してみな」
P-M「まだ帰らないの?」
あさがやカトリ「えっ!?」



●浅草ROX



P-M「いいか?オマエらと一緒に来ていない。まったくの他人。別行動だからな」
あさがや「OK。あ、ちょっと販売コーナーに行ってくるから荷物見てて」
P-M荷物が紛失したら大変だからね。複数人でイベントに参加する時は交代で荷物番をして、
レースに出たり、販売コーナーに行くといい…って、他人だと言っているだろう!!」
カトリ「まったく…。あさがやを見張ってくる。申し訳ないがここで待っていてくれ」
P-M「了解だ。頼んだぞ…あ、あれ?」

P-M「結局、連中のペースに流されてしまった。このまま何もしないのも悔しいので、マシンでも見てやるか。
そういえば、前回見たのが2009年8月か。10ヶ月も経っているし、かなり変わっているだろうな」



トルクルーザー(壱番屋雷おこしバージョン)

P-M
「何も変わっていない!
前回との差分は…背景?
カトリバッテリーも変わっているぞ
P-M「うおっ!戻ってくるの早いな」
カトリ「驚いただろう。さぁ、何でも聞きたまえ。何を買ったとかいくらつかったとか」
P-M「この10ヶ月、一体何をしていたんだよ」
カトリ「チッ!うっせーな。反省してまーす」
P-M「カトリには期待できない。あさがやのマシンはどうかな。別物くらいになっていたりして」


越前(世界のカレーフェアバージョン)

P-M「何も変わっていない!!」
カトリ「サボっていないでセッティングしろよな」
あさがや「カトリに言われたくないな。あと、ちゃんと変わっているから、よく見ろや」
P-M「よく…」
カトリ「…見ろ?」
P-M「あ、前回からマスダンパーが1個増設されている!フロントタイヤもハードになっている!
カトリ「…」
P-M「ん?カトリ、どこを見ているんだ?」
あさがや「さぁ、洗濯バサミの有能さに気づくんだ。洗濯バサミにも劣る自分の不甲斐なさを嘆くがいい」
カトリ「洗濯バサミ…挟める…挟んで落ちない…洗濯物が汚れない!それに比べてオレは!!」
P-M「おい、あさがやの目を見るな!催眠術をかけられているぞ!!」



●レース


P-M「スロープ、芝セクション、ドラゴンバック。今日も楽しませてくれそうだ」
あさがや「練習走行ではサイコーの走りを見せた越前が、今日も余裕で予選通過だな」
カトリ「今日"も"って…。いつも爆死してばかりじゃねぇか」

あさがや「誰が最初に走る?やっぱり一番はやりたくないよな。緊張するし」
P-M「じゃあ自分が行ってくるわ」
カトリ「いや、オレが行く」
あさがや「え?い、いや、ワタクシメにお任せください」
P-Mカトリ「どうぞどうぞ」
あさがや「お約束か!まぁ、いい。大幅に進化した越前の走り、とくとご覧あれ」
P-M「大幅って、マスダンパー1個増やしただけじゃないか」

カトリ「あさがやが並んでいる間、他のレースをじっくり見ようか」



P-M「最近はクリアするマシンも増えたが、やはり今日もドラゴンバックが鬼門か」
カトリ「マスダンパーを売りたいというタミヤの策略だな!」
P-M「何そのひねくれた発言…」



カトリ「今日は接戦のレースが多いなぁ」
P-M「あぁ。ストレートで引き離したマシンがコーナーで追いつかれるといった展開は、
昔のミニ四駆レースを見ているようで胸が熱くなるな」
カトリ「まるでレッツ&ゴー!!のようだ。こうやってDVD-BOXを売ろうとするなんて!やはr」
P-M「(もうツッコまないぞ)」



P-M「スロープと芝…。ここで思いっきり吹っ飛んだら…そいつは最高に気持がいいな」
カトリ「何をボーッとしているんだ?そろそろあさがやの出番だぞ」
P-M「あさがや?あ、あぁ、まだ帰っていなかったんだ」
カトリ「何言ってんだと思った。あ、こっち向いてAmazonの箱みたいな顔している」

スタッフ「シグナルが青になったらスタートですよ。それでは…」

レディ…ゴー!!

P-M「ストレート、コーナーを過ぎた時点では…5位!」
カトリ「立ち上がり遅!!」



P-M「ドラゴンバックもかろうじてクリアした」
カトリ「現在2周目。1つ順位を上げて4位です。ただし、1台コースアウトしたおかげですが」


P-M「その後、バトル・ロワイアルさながら1周に1台ずつコースアウトし、現在2位」
カトリ「そしてなぜか勝ち誇った顔をしているあさがや。まさか次にコースアウトするのは…ッ!」

あさがや、コースアウト!!

P-Mカトリ「オマエかよ!!」
あさがやkonozamaです」


カトリ「じゃあの」
P-M「あ、次カトリ行くのね」
あさがや「フッ…カトリは四天王の中でも最弱」
P-M「四天王?誰それ」
あさがや「あそこに並んでいる」



P-M「レンタルマシンじゃないか。それで、誰がカトリなんだ?」
あさがや「次のレースで青ざめるだろうから、だろうね」
P-M「それは越…あ、もうレース始まる」

あさがや「惜しかったな」
P-M「残念だったね」
カトリ「あぁ…って、何でいきなり終わってんのよ!もっとこう、
3コースからのスタート。アホになりつつも激しいトップ争い。
ドラゴンバックで体制が崩れたスキに一気に差を広げられ、結局は2位に終わった!
とか解説はないの?この章の最終話なのに!」
あさがや「負けたら2位も5位も同じだよ」
カトリ「夢も希望もない!2位じゃダメなんですか!?」


P-M「さて、前座は終わりだ。行ってくる」
カトリ「今日は死亡フラグ立てないのか?」
P-M「するか!この日のためにセッティング名『はやぶさ』の開発を進めてきたんだからな」
カトリ「はやぶさ?え…あー、まぁいいか」
あさがや「大した自身だな。よし、勝ったらα-ZERO弁当おごってやる」
P-M「何それ Σ( ̄◇ ̄;」



※写真はイメージです。

スタッフ「シグナルが青になったらスタートですよ。それでは…」

レディ…ゴー!!

P-M「よし!団子状態だが、先頭を突っ走っている!!」




P-M「コーナーも芝も余裕で突破!」



あさがや「じわじわと差をつけていく。こりゃ行ったか」
P-M「スロープ、ドラゴンバックも楽勝。こりゃ勝ったな。
あ〜、次のレースはどうしようかな。まずは新しいバッテリーを購入せねば」
カトリ「ピッ」
P-M「3周目。あとはスロープにさしかかって…うごぁっ!!」」

P-M、コースアウト!!


<REPEAT>

こ〜ど〜くさ〜え〜♪

P-M「うぐぉおぁあっ」

</REPEAT>

P-M「スローでリピート再生するな」
カトリ「うまくいったな。事前にセットしておいた推進エンジンを起動したのよ」
P-M「推進エンジン?そんなものどうやって!?」
カトリ「細かいことはどうでもいい。それにしても派手に飛んだな」
あさがや「まるで大気圏を突入したかのようだ。夜空に輝いていたよ」
P-M「褒めてない!全然褒めてないよ!!」