いつものとおり最寄り駅で集合。
5分前にキッチリ到着すると、既にカトリとあと1人の姿がホームにあった。
あさがや「その剣で私を好きなようにして!」
カトリ「…お前が命をかけてまでオレをほしいというのなら仕方がない…。 力をかしてやろう」
わけがわからない会話をしている二人と微妙な距離を保ちつつ、電車に乗り込む。
カトリ「今日も越前は爆死だろうな」
あさがや「どうせいつものセッティングだろうと思ったか?今日はなんと…」
P-M「セッティング…?あ!マシン忘れたッ!!」
カトリ&あさがや「…」
カトリ「10分間待ってやる…」
あさがや「バルス!!」
P-M「いきなりバルスかよ」
今年最後のビッグイベント、年間チャンピオン戦。
本館でも何度か触れたが、いつもの浅草ROXは改装のため使用不能になってしまった。
そのかわりの会場として白羽の矢が立ったのが五反田TOCである。
1970年開館というだけあり、なかなか歴史を感じる建物だ。
テキトーに探したが見当たらなかったので、歩いていたレーサーズボックスを持っていた方についていったら、この立て札にたどり着くことができた。
ありがとう、そしてありがとう!!
会場に到着すると、すでにたくさんのレーサーが詰めかけていた。
エントリーシールをゲットした直後に、あさがやの姿が見えなくなっていた。
遅刻、爆死、そして迷子…。
どれだけ属性をつける気なんだ。
カトリ「萌えか!そこが萌えなのか!?」
違う。
探索を開始した直後、黄色のナマモノがニヤニヤしながら近づいてきた。
多少のけぞりながらカトリに対応を任せようと思ったら、下を向いてプルプル震えていた。
駄目だこいつ…早くなんとかしないと…。
あさがや「いいポジションを見つけたんだ」
あさがや「ドヤッ」
メインコースが置いてある部屋の隣も待機所として開放されていた。
広々としていてゆっくりできるし、室内も温かい。これは嬉しい。
あさがやが先に発見したのでなければもっと喜べるのだが。
冷えた体を回復させるかのように座すと、既にカトリの姿が見えない。
どうせ途中の販売コーナーにでも立ち寄ったのだろうと思っていたら、案の定、バブル期の酔っ払い父さんの如く、買い物袋をぶらさげてフラフラと帰ってきた。
カトリ「ライトニングマグナムかLMブレイカーかわからないな〜てへぺろ(・ω<)」」
P-M「まだ帰らないの?」
ほどなくしてレースの出番がやってきた。
いつの間にかあさがやとカトリが車検の列に並んでいたので、P-Mはお留守番。
コースの横で観戦することにした。
最初の出番はあさがや。
越前のセッティングを変更したら全幅が規定オーバーになっているのをカトリから指摘されたことで失笑を誘ったが、それを感じさせないほどのふてぶてしさでスタートした。
いつものようにそこそこのレース展開で1周目の後半にさしかかったが…。
「あーっと!ドラゴンバックで1台がコースアウト!!」
実況で絶叫されながら綺麗な弧を描いていたのは紛れもなく越前だった。
スタッフの方からマシンを受け取った後、こちらを見ながら何か叫んでいる。
あさがや「爆死を強いられているんだ!!」
P-M「あっそ」
続いてはカトリ。
ニンニクを食べながらバイクに乗ると意気込んでいたが、そのわけがわからない宣言が裏目に出たのかスタートで出遅れる。
レースは始まったばかり。まだまだ挽回のチャンスはある。
最初のバンクからスロープへ突入。
ここからデジタルカーブへと移った頃に、早くもマシンが1台減っていた。
言うまでもなくカトリである。どうやら卍解したらしい。
P-M「話にならないな。本物のレースというものを見せてやりますよ」
あさがや「あのコースは手ごわい。あの越前でもクリアできなかった。油断するな」
カトリ「オレですら1周出来なかったんだ。あなどるなよ」
…まったく説得力がないな。
マシンの全長がギリギリだったので車検を通るか緊張したものの、何とかパス。
このレースのために、前日にAGEシステムが選択したパーツをヨドバシカメラでわざわざ購入してきたので、何とか一次予選くらいは突破したい。
そしてレーススタート。
「ペルソナ!」
カッ
この上なく極上のスタートを切った。
カトリとは違うのだよ、カトリとは。
スロープも難なくクリア。
懸念していたデジタルバンクやレーンチェンジも最速で突破。
あさがや爆死地点であったドラゴンバックも余裕で通過したころには、他の4台はデジタルバンクに苦戦していた。
あとは後ろを振り返ること無く、完走できるかどうかの問題だ。
だが、今日の愛車は絶好調。そんな不安を微塵にも感じさせず、一次予選はダントツで勝ち抜けた。
P-M「…という予定だった」
カトリ「結局オレと同じところでコースアウトしたじゃねーか」
あさがや「どこまでが本当なん?」
P-M「"カトリとは違うのだよ、カトリとは"まで」
カトリ「ほぼ全部かよ!」
P-M「前の聖杯戦争では遅れは取らなかったのに…」