今度は引っ越し対決?(その1)

「あー、モシモシ。P-Mサンですか?」

眠気が襲う午後の一時。
後輩から電話がかかってきた。

「実はですね、P-Mサンに折り入ってお願いがあって…」
「んー、何?」
「あ、ちょっとここじゃ話しづらいんでまた後で」

プツッ

…。
話しづらいって電話じゃないか。
しかもそっちから掛けておいて…。
数秒後。

「あー、モシモーシ、P-Mサンですかー?」
「そうですよー」
「いやね、お願いというのは手伝って欲しいんですよ」
「手伝って欲しいって?」
「今住んでいるところから別の場所へ移り住む」
「ストレートに言え。引っ越し…だな」
「正解!」
「うん、じゃあがんばってね」
「あ、ちょっと待ってくださいよ!一人じゃムリだから手伝って欲しくて」
「こんなパワーGの選手をつかまえてどうする気だ」
「いつなら都合がつきそうですか?」

聞く耳持たず。

「待て。まだOKしていないぞ」
「ダメですか?」

どこかのチワワみたいなウルウル目が思い浮かんだ。
そこら辺の使い方がうまい。うますぎる。十万石まんじゅう。

「で、日付なんですけど」

もはや選択肢無し。

仕方なく引っ越し作業を手伝うことになってしまった。
なんで自分の周りはこんなのばっかりなのか。

「あ、そうそう。346サンにも声をかけておきますんで♪

ますます行きたくなくなってきた。

初出:2006年10月10日 峠の茶屋「今度は引っ越し対決?」