激闘記録 第十章第2話「蒼いタスキ」

9月になり涼しい日が続いているわけもなく、連日の猛暑と真夏日という周回を重ねている。
それでも暦は止まらず、読書の秋、運動の秋、食欲の秋、そしてレースの秋が到来するのであった。

…と、独白で始まったので察しが付いている読者の方も多いと思われるが、"奴ら"は欠席だそうな。
おそらくモデラーズギャラリーでの大爆死がトラウマになったのかゾンビになったのだろう。
片方は出場すらできず、爆死というよりも爆笑に近かったが。


ミニ四駆GP2010in浅草の会場に到着。
電車が多少遅れたものの、ちゃんとレースに出場できる番号をゲット。
まずはコースをチェックしますか。
誰ですか。販売コーナーに直行とか言っているのは。


…。

これは何の嫌がらせかなー?

ボクのマシン、スロープですらやっと攻略できたのに、今度はアイガーまで一緒に…。

スロープ登場

なんとかクリア

ドラゴンバック登場

なんとかクリア

アイガー登場(しかもスロープとコンビ)

どこの漂白漫画だ。
だからといって、目を瞑ってどっか隅っこに挟まって、口だけ開けて雨と埃だけ食って辛うじて生きるのも癪なので、
対策を練ることに。
まずは練習走行でマシンの挙動を見よう。



並んでいる最中、コースに目をやるとアイガー下りの直後に芝が。
反対側からは見えなかったが、本気で殺りに来ているな。

練習走行は3周という短い周回のみ。
それでも本番前にコースを走行できるので、かなりの価値がある。
この貴重な機会を活かしたい。

最高のスタートを切った我が愛車。
1周目が終わってもコース上に残っていたので、件のスロープ、アイガーは突破したようだ。
「ようだ」と曖昧なのは、スタート地点からじゃ奥のほうが死角になって見えないからだ。
ふぅと安心していた矢先、なぜか逆方向から3コースを走行してくるマシンが。
自分は2コースからのスタートだから安心…って、え!?

そのマシンと正面衝突してコースアウト。
実質1周しか走れなかった…。
過失割合は10:0だコノヤローめ!!

レースは何が起こるかわからないので仕方ないし、本人も悪気があったわけじゃないと割りきって、その場を立ち去った。



程なくしてレースが開始。
やはりスロープとアイガーでコースアウトするマシンが多い。
アイガー直後の芝でスピードを大きく落として抜かれるマシンも結構見かける。
それを見るたびに、MAXで行くべきか控えめに行くべきか迷う。

迷った挙句、練習走行で多少消費したニカド1000で挑むことにした。
スピードよりも安定性を重視した結果である。
これで負けても仕方ないと腹をくくる。

スタッフ「シグナルが青になったらスタートですよ。それでは…」

レディ…ゴー!!


※画像はイメージです。

スタート直後は3番手につける。
大差がつくかと予想したが、マシン2台分程度の差でスロープに突入。

あーっと!3コースのマシンがコースアウトしてしまった!!

何だとーっ!?
…と思ったが、自分は2コースだったわ。焦ったなぁ。
レースの方は1周目が終わり、先頭2台がデッドヒートを繰り広げている。
その後を追う白いマシン。

あれ?もう1台減っているじゃん。
ポジション的に自分のマシンか?
どこでコースアウトした。死角になったスロープらへんか?

その後、先頭2台はコースアウトし、最後まで残った1台が一次予選を突破した。
肩を落としつつスタッフの方からマシンを受け取ろうとすると、思わぬ言葉が。

別のマシンが逆走してきてぶつかったので次のレースへ再参加となります。電池の交換はよろしいですか?

なんですと?

もしかして:敗者復活

というか、また正面衝突かよ!



直後に次のレースがやってきた。
バッテリー交換はせず、そのまま挑むことに。

先ほどとは違う1コースからのスタートであったが、そんなことは問題ない。
せっかくの再チャンスなのであたって砕けてやる。
先ほど敗者復活と言ったが、本当に敗者だったかどうかはこの際気にしない。

結果…



P-M、一次予選通過!!

ひとり寂しく祝杯を上げる。
振り返ってみると、他の4台を引き離した危なげないレース展開であった。
組み合わせは大切だと実感。

カトリがその場にいたら動揺のあまり、反復横飛びと立位体前屈を同時にやっていただろう。
あさがや?誰それ。



昼に行われる練習走行に参加。
さすがに3回連続正面衝突はなく、極めて順調に走りきった。
本番でもこの調子で行ってくれればとマシンに願掛けし、コースから出る。

二次予選まではかなり時間があるため、近くにあるレストランへ。
以前、闇プログラマーことあさがやとレースの合間に行った店だ。
ここで食べた直後のレースで誰かが大敗を喫したんだよな。
入店した直後に思い出して後悔した。
カトリ?誰それ。



二次予選開始。
一次と比較してマシンのスピードが速く、コースアウトも少ない。
さすが勝ち上がったマシンだけのレースは違う。
ここに加われる喜びを感じるとともに、スタートラインにつく。



その瞬間、上のコースが脳裏に浮かぶ。
これが…モナドの力なのか!?

スタッフ「シグナルが青になったらスタートですよ。それでは…」

レディ…ゴー!!

5台いっせいにスタート!
バッテリーを一次で使ったニカド1000からパワーチャンプに交換したためか、一気に先頭を駆け抜けていった。
スロープをかなりのオーバースピードで駆け抜け、芝をものともせず突破。


※画像はイメージです。

懸念していたアイガーで余裕のコースアウト。

えっ!?

「…コースアウトしないでください。…コースアウト…しないでよ」
涙目でつぶやいてしまった。

結局、二次予選で大敗という結果に終わった。
スロープは突破できるのに、アイガーはダメ。
波動拳は余裕で出せるのに昇竜拳に苦戦したあの日々が蘇ってくるようだ。